こんにちは、元インフラエンジニアのリオ(@Rio_reach)です。
IT会社に就職して2年半くらい経ったある日、ふとそんな風に感じるようになりました。
新卒入社から2年。
余裕が出てきたはずなのに、なんだかつらいのです。
当時はその違和感をじっくり考えるヒマもなく、当時は淡々と仕事を続けていたのですが、朝起きられなくなったり、なんだか涙が出てくるようになったりと仕事を続けられない状態になってしまいました。
そしてIT業界を離れて3年。離れたからこそ、違和感の正体に気がつきはじめました。
この違和感の大部分はITゼネコンと呼ばれる業界体質にあったのです。
本記事では、8年間IT業界でインフラエンジニアだった私が、ITゼネコンに対して感じていた違和感と対処方法を書いていきたいと思います。
私の体験があなたの気づきにつながり、手遅れになる前の対処に役立てばとても嬉しいです。
私が働いていた環境
まずは、私が働いていた環境についてまとめておきます。
- 中堅SIerの元インフラエンジニアで8年勤務
- 航空会社、銀行、大手携帯キャリアといった大企業のインフラ構築プロジェクトを経験。どのプロジェクトも半年〜1年のプロジェクト
- ほとんどが二次請け、下流工程が中心
- 勤務地は東京近辺
私がITゼネコンに感じていた違和感・問題点
結論を書いてしまうと、以下の5点です。
- ITゼネコンの不公平感
- SES(システムエンジニアリングサービス)の矛盾
- 精神的・物理的閉塞感
- 帰属意識が皆無
- 自分が望む技術キャリアの形成がしにくい
以下、詳細を書いていきます。
ITゼネコンの不公平感
私は二次請けだったので、
- 一次請けの命令系統を受ける体験
→一次請け社員にうんざり - 三次請けへの指示
→三次請け企業の人への申し訳なさ
を経験しました。
一次請け社員にうんざり
そもそも、一次請け社員は技術力がありません。お金の管理やスケジュール管理をする役割なので、そこは仕方がないです。
しかし…技術を知らない一次請け社員とのコミュニケーションは二次請けにとってとても大変です。
エラーの内容を一つ説明するのにも30分以上噛み砕いて説明資料を作って…みたいな感じです。
で、その資料をもとに一次請け社員がお客様に説明するんですよね。
と思ったことは一度や二度ではありません。
そして、技術力がないから、
- 二次請け以降の社員よりも早く帰る。
- とにかく納期に間に合わせようとするだけ。口だけ出してくるのがウザい。
三次請け社員の人への申し訳なさ
技術力が高いのは、むしろ三次請け以降の会社の人だったりします。
私が右も左もわからないときに、技術をほぼマンツーマンで教えてくれたのは、世話好きの三次請け会社の方でした。
そんな三次請け会社の人に言われたひとことが忘れられません。
スキルは私よりも高いのに、「ただの役割の問題」ではなく、ITゼネコンにはどうしても企業格差という問題が存在しています。
SES(システムエンジニアリングサービス)の矛盾
SESとはシステム開発をするときの契約形態の一つです。
ざっくり説明すると、
- 働いた時間に対して報酬をもらう(時間単価制)。
- 成果物に責任を持たない。
- 指揮は派遣元の会社がとる。
といった感じです。
SESで問題に感じるのは、時間単価制と成果物に責任を持たない点です。
プロジェクトの本来の目的は、「プロジェクトを成功させる」です。
しかし、成果物に責任を持たないSESという形態では、
- 「時間さえ働けば良い」
- 「むしろ、時間を延ばした方がいい」
という、生産性が上がらない構造になってしまうのです。
生産性を上げるだけ損…ってなってしまうと、仕事の面白みがなくなったり、頑張ろうって思わなくなっちゃいますよね。
このようにして、腐った精神のエンジニアをたくさん排出するのがSESという契約形態なのです。
精神的・物理的閉塞感
まず、精神的閉塞感ですが、ITゼネコン構造のプロジェクトは基本的に大企業のプロジェクトであるため、セキュリティが厳しすぎる環境なのです。
セキュリティが厳しい環境とは具体的にどのような環境なのかと言うと、
- インターネットに接続できないもしくは、決まった端末のみ接続可。
- 外部に出す情報を厳しく管理される。
- 入館証の紛失に極端に厳しい。
といった環境です。
セキュリティって、本質的には業務遂行に必要なものではないです。
そして、セキュリティと業務の快適度は反比例するものだと考えていて、セキュリティをガチガチに固めると業務の遂行が困難になります。
- プログラムのわからない点は自分の個人スマホで調べる:非効率
- システムのエラーについて外部の機関にメールをしたくても、いちいちお客様に許可とチェックを得なくてはならない:無駄な時間
- 入館証を紛失すると本気の始末書、場合によっては契約解除:うっかりミスも許容されない
といった感じで、かなり精神的に閉塞感を感じる環境でした。
また、仕事を遂行する部屋は、いろんな会社の人が集まる環境です。
当然、他社の目があるため、たくさんの人がいるにも関わらず、パソコンのキーボードを叩いている音だけが響いている…そんな物理的な閉塞感もかなりありました。
帰属意識が皆無
ITゼネコン構造では、私はほとんど自社の名前を名乗ったことがありません。一次請けの会社の名前を名乗っていました。
お客様は私が実際にどの会社に属しているか知らず、お客様も私が一次請けの会社の人間だと思っている…そんな状況です。
自社に帰るのは締め処理をする月1回のみで、自社の人間と交流することはプロジェクトが同じにならない限りありません。
そんな状況だと、帰属意識は生まれにくいですし、私が自分の会社のためにできることって、SES契約でしっかりと客先で頑張ることだけ。
それも、自社では生産性を上げることよりも、とにかくSES契約の売上を最大化することが求められているといった状況です。
自分が望む技術キャリアの形成がしにくい
これは特に私がインフラエンジニアだったからから感じるのかもしれませんが、特定のプロジェクトで頑張れば頑張るほど、特定のプロジェクトしか行けない人材になっていきました。
私は、とある大企業が一次請けのプロジェクトによくいました。
その企業のハードウェア、データベース、ソフトウェア…求められるまま、いろんな勉強をしました。
しかし、私はもともと、自由に働くエンジニアを理想としていました。
あわよくば、自宅でコードを書いて、悠々自適なエンジニアになりたいと思っていました。
しかし、勉強すればするほど、その企業の製品を使っているプロジェクトしか行けなくなり、気がついたら汎用的なスキルではなく、特定プロジェクトでしか役に立たないスキルしかない人間になってしまいました。
ITゼネコン構造の中では、自分がどんなエンジニアになりたいかの理想像を強く持たないと、「自分が学びたいこと」ではなく、「自分が求められていること」を優先したり、それが「自分が学びたいこと」であると誤解して勉強をしてしまいがちです。
結果、ふと気がついた時に、なりたかったエンジニア像とかけ離れている自分の姿を認識することになるのです。
ITゼネコンの違和感への対処法
ここまで読んでくださった方は、私と同じような違和感をいくつか抱えているのではないでしょうか。
当時の私は、視点が狭く、違和感に対処法があるなんて思わなかったのですが、今なら他にも選択肢があったことがわかります。
- 自分にとっての良プロジェクトの条件をリストアップする
- 自社の別の部署に異動する
- 転職する
次の項では選択肢について書いていきたいと思います。
自分にとっての良プロジェクトの条件をリストアップする
まずは、自分にとって気持ちが楽で、前向きに取り組めるプロジェクトの条件をきちんと整理しましょう。
例えば、金融系会社のプロジェクトは私にとって本当に辛いものでした。
残業が少なく、かつ自社の人数も多くて頼れる人が多い安心感があるプロジェクトだったおのですが、朝早かったり、セキュリティに特にうるさい環境は私にとってとても息苦しかったです。
一方、大手携帯キャリアのプロジェクトは納期が極端に短かったにも関わらず、私はとても楽しく働くことができました。
ほぼ毎日23時帰りみたいなプロジェクトでしたが、新しい技術を積極的に取り入れるお客様
で、業務効率を重視する雰囲気が私には合っていたようで、とても刺激的で自分も成長できたと感じたプロジェクトでした。
このように、ITゼネコンのプロジェクトでも、お客様によって雰囲気はガラリと変わります。
自分にとっての良プロジェクトをリストアップし、自分に合うお客様のプロジェクトに参加させてもらうよう、自社の上司に相談してみることが、楽しく働くための第一歩です。
自社の別の部署に異動する
ITゼネコンのような請け負いプロジェクトが合わない場合は、自社のプロジェクトを行うような別の部署に異動願いを申し出てみるのも良い方法です。
そんな部署はない…と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、意外と自分が知らないだけで、自社の情報システム部門や営業補佐など、上司に聞いてみると意外とあったりします。
自分の技術を直接自社に役立てることができるやりがいも感じられます。
ITは好きだけど、ITゼネコンがどうにも肌に合わない…そんな方にオススメです。
転職する
会社がプロジェクトの優遇を効かせてくれない、異動もさせてもらえないのであれば、早めに転職しましょう。
当時の私は、ITの仕事をしたいのであれば、ITゼネコンに組み込まれるしかないと思い込んでいました。
しかし、そんなことはないですよ。
- 自社でサービスを開発している企業
- 社内システムエンジニア
- ベンチャーのIT業務
- Web業界
- フリーランス
など、いろんな選択肢があります。
上記の選択肢であれば、少なくともITゼネコンに組み込まれることはありません。
行動しなければ、状況は変わりません。
モヤモヤした気持ちを引きずるくらいであれば、実際に求人情報を見たり、応募して外の世界を見てみましょう。
転職サイト・転職エージェント
- 転職支援実績No.1 リクルートエージェント:とにかく案件が豊富。求人数、転職支援実績、顧客満足度No.1を誇る。登録しておいて損はありません。
- マイナビ ITエージェント:定番の転職サイトのマイナビです。IT業界に特化しています。
- レバテックキャリア:最近CMでも露出してきた、ITエンジニアに特化した転職支援サービスです。エンジニアがキャリアアドバイザーを務めてくれます。
特に女性の場合は早めの行動を
特に、あなたが女性で、出産を希望するのであればなおのこと早めに転職したほうがいいです。
というのも、出産・育児を安心して行うために自分に合う会社を見つける必要があるからです。
以下の記事は、大学院卒の女性の働き方について書いていますが、女性全般に当てはまる記事です。
まとめ 行動しなければ環境は変わらない
働いている当時はごまかしていた違和感。
少しずつ耐えられなくなって、それでも歯を食いしばって頑張っていたけれども、結局はプツッと張り詰めていた糸が切れてしまったあの時。
私自身は何も準備をせずに、退職という道を選び、その後アルバイトをしながら少しずつ精神を回復させてきました。
収入は半減です。
しかし、そのような形でも、ITゼネコンから抜けるたことに後悔は全く感じていません。
今、感じている後悔は、もっと早く行動すればよかった、ということです。
そうすれば、もっと良い未来を選択できていたと感じます。
あなたには私のような後悔はしてほしくないです。
だから、あなたが今いる環境に違和感を感じているのであれば、手遅れになる前に行動しましょう。行動しなければ、当たり前ですが今の環境のままです。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
本記事で紹介した転職サイト・転職エージェントまとめ
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